診療科のご案内

眼科

当科は常勤医師2名(山田桂子、寺尾美弥)、非常勤医師7名によって、大阪大学眼科学教室と連携し、斜視・神経眼科(月曜日)、白内障・角結膜疾患(火曜日、水曜日)、網膜硝子体(木曜日)、緑内障(金曜日)の専門外来を設け、地域の基幹病院として眼科疾患全般に対応できるよう努めております。デジタル画像ファイリングシステム、眼底造影検査機器、各種レーザー機器、OCT(前眼部・後眼部)、視野計など最新の検査機器を豊富に揃え、患者様に満足していただけるよう質の高い医療の提供と、地域連携を大切にするよう努めております。手術機器は、白内障手術装置 センチュリオンと硝子体手術装置 コンステレーションがあり、手術用顕微鏡はOCTと非接触広角眼底観察装置とOCT付のZEISS CALLISTO eyeを使用しています。網膜硝子体手術、角膜疾患の手術では、特に術中OCTで病変部を断層撮影しながら、さらに安全に、より正確に手術をすることができます。

診療担当表

  曜日 曜日 曜日 曜日 曜日 曜日
午前 2-4診:山田(予約)
2-5診:大井
2-6診:(斜視・視神経)(予約)
2-4診:山田
2-5診:大井(予約)
2-6診:(白内障・角膜)(予約)
2-4診:非常勤
(初診・予約外)
2-5診:大井(再診)
2-6診:(白内障・角膜)(予約)
2-4診:山田
2-5診:特殊検査(1,3)
2-6診:(網膜硝子体)(予約)
2-4診:鈴江
(初診・予約外)
2-6診:(緑内障) (予約)
2-4診:非常勤
(急患のみ)
午後 2-4診:渡辺(予約)
 
  午前  9:00~12:00(受付 8:30~11:30)
  土曜日は急患の方のみ(紹介状有)となり、また受付は11時までです。

----休診情報 --------------------------

鈴江:12月6日(金)午前

崎元:11月14日(木)午前

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眼科医師

部長 山田 桂子
平成22年 和歌山県立医科大学卒業
眼科専門医
医員 寺尾 美弥
平成31年 近畿大学医学部 卒業
医員 大井 はづき
令和3年 大阪大学医学部 卒業
非常勤(7名) 大阪大学眼科学

フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術

費用の件で何かご不明な点がありましたら病院1階医事課にお尋ねください。

近年、LASIKや角膜移植などの手術に用いられているフェムトセカンドレーザー技術が、白内障手術にも取り入れられるようになりました。従来、術者の「感覚」や「経験」に頼って行われてきた『角膜切開』、『角膜減張切開』、『水晶体前嚢切開』、『水晶体分割』の工程をレーザーにより行うことができます。 フェムトセカンドレーザーは1/1000兆分の1秒という短い時間単位で、コンピューター制御下で安全かつ精密に照射でき、隣接する組織には衝撃や熱の放散といった影響をほとんど及ぼさない安全性の高いレーザーです。 眼科領域においては、LASIK(レーシック:近視矯正手術)や角膜移植に、近年ではさらに白内障手術にも使用されるようになりました。フェムトセカンドレーザーによる白内障手術は2008年から世界50か国以上で導入され、日本でも厚労省から認可を受けています。

白内障手術は従来の方法でも十分安全に施行できますが、このレーザー技術が白内障に応用される理由として、プレミアム眼内レンズが登場したことがあげられます。 眼内レンズは、従来1点にしかピントが合わなかった単焦点眼内レンズから、現在はプレミアムレンズと呼ばれる乱視矯正眼内レンズ・多焦点眼内レンズ、また両機能を合わせ持つ眼内レンズなど、より多彩な機能を持った眼内レンズを登場しました。 プレミアムレンズはより正確に水晶体嚢に固定しなければレンズの効果が十分発揮できませんので、前嚢切開をレンズのサイズに合った大きさで、正確に作成する必要があります。このように高度な精度を必要とするときには、人間の技術よりコンピューター制御下で緻密に行うレーザー治療が優れています。

当院は2019年9月AMO社のフェムトセカンドレーザー(CatalysTM Precision Laser System)を導入しました。カタリスプリシジョンレーザーは、眼球の構造を読み取る装置である三次元光干渉断層画像診断装置(3D-OCT)がついており、 水晶体中央部から1万回以上スキャンすることで前眼部(角膜や虹彩など)や、 水晶体の位置情報を取得し、立体構造を構築し、高性能ソフトウェアを使い、その方の眼に合わせて治療計画を作成します。これにより治療部位のみへの正確なレーザーパルス照射が可能となります。 一般的な白内障手術の手順は、麻酔後に
1:まず、目の中へ入るための創口を作り、
2:水晶体嚢の表面を丸く切り取り、超音波を使って水晶体内部を細かく分割し、中身を吸引します。
3:最後に、水晶体嚢の中に眼内レンズを挿入します。この手順のうち、図1のよう1)切開から、3)水晶体を砕くまでの工程をフェムトセカンドレーザーで行うことができます。中身の吸引と眼内レンズの挿入は従来と同じ手術工程です。

この度プレミアムレンズの一つである多焦点眼内レンズを挿入する白内障手術をフェムトセカンドレーザーで行う運びとなりました。多焦点眼内レンズは、遠くも近くも見えるようになりたい、でるだけ眼鏡をかける時間を減らしたい、これからも車に乗ってアクティブに過ごしたいといったご希望の患者様に向いているといわれています。 プレミアムレンズの適応があるかどうかは、角膜形状解析などの様々な検査を行って判断します。

図1:【フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術工程】

1)切開を行う。

フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術工程フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術工程

2)水晶体嚢を正円にカットする。

フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術工程フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術工程

3)水晶体をレーザーで細分化する。

フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術工程

4)細分化された水晶体を吸引する。

フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術工程

5)眼内レンズを挿入する。

フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術工程

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの見え方のシミュレーション

単焦点眼内レンズ

単焦点眼内レンズ

遠くに焦点を合わせた場合の見え方。
遠くは色もはっきりと見えるが、近くがぼやけるため近用眼鏡が必要となる。

多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズ

遠近ともに焦点があうが、単焦点眼内レンズの見え方より優しい感じとなる。

フェムトセカンドレーザーの注意点

レーザー後は、白内障手術器械まで少し移動していただかなければなりません。したがって、通常の白内障手術よりも手術時間が長くかかる場合があります。
レーザー照射中に眼球が動かないように目の表面に吸引器具を装着するため結膜出血が生じます。術後1~2週間程度は出血が残りますが見え方には影響しません。
眼球のサイズがレーザーの吸引器具と合わずに装着ができない方の場合や、白内障手術を行う際は散瞳薬の点眼によって瞳孔を拡大させる(散瞳)必要がありますが、レーザーに必要な瞳孔径がえられない場合は照射できません。 めったにないことですが、レーザーの不具合で術当日に使用ができなくなり手術日を延期するか、従来通りの術式へ変更せざるを得ない場合があります。

CatalysTM Precision Laser System

CatalysTM Precision Laser System(Johnson & Johnson Vision)

症状から考えられる疾患について

視力低下、かすみ、眩しい
  • ① 白内障
    カメラでいえばレンズにあたる水晶体が白く濁って、見えにくくなる病気です。白内障は、加齢によって生じることがほとんどですが、先天性、外傷、アトピーや薬、放射線など様々な原因で起こります。症状や進行には個人差がありますが、60歳代以上では大部分の方に白内障が生じています。カメラのレンズに相当するのが水晶体です。水晶体が濁ると、光がうまく通過できず、光が乱反射して網膜に鮮明な像を結べなくなり視力が低下します。様々な原因で起こりますが、加齢によるものが多いですので、誰でも年をとるにつれ、水晶体は濁ってきます。症状は、目のかすみ、明るいところでまぶしくて見えにくくなります。またダブって見えることもあります。これらの症状が悪化して、日常生活に支障を感じるようであれば手術が必要です。車を運転される方は、免許更新に必要な視力が出ない場合に手術になることがありますので、免許更新直前に慌てて受診されるより、余裕をもって眼科検診されることをお勧めいたします。
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  • ② 糖尿病網膜症
    血液の糖分(血糖)はからだを動かすエネルギー源となるので、大切なのですが、糖尿病になり、高過ぎると全身に障害が出ます。糖尿病に10年罹患すると、40%の人に網膜症が発症すると言われています。網膜・硝子体に出血をおこし初期には、眼底出血を起こしても自覚症状がないため、治療をせず放置されることがあります。見えにくくなってから治療を開始しても改善しないことがありますので、定期的に通院しましょう。
  • 視野欠損
    • ① 緑内障
      日本人の40歳以上の20人に1人がかかるといわれる、失明原因の上位にあがる目の病気です。緑内障では、何らかの原因で視神経が細くなり、見える範囲(視野)が徐々に欠けていく病気で、眼圧上昇がその原因の一つと言われています。自覚症状はほとんどなく、知らないうちに病気が進行していることが多くあります。視神経の障害はゆっくりとおこり、視野も少しずつ狭くなっていくため、目に異常をかんじることはありません。眼の中の水(房水)の出口が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇し、ゆっくりと病気が進行していく種類や、正常の範囲にもかかわらず緑内障になる種類もあります。自覚症状がなくて、たまたま受けた人間ドックの眼底健診で視神経がやせていることを指摘され、初めてわかることがあります。眼圧以外にも、緑内障の家族歴、加齢、近視、循環器系疾患や糖尿病になったことなどがあると、緑内障になる可能性が高くなるといわれています。
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    • くしゃくしゃする、眼が開きにくい
      • ① ドライアイ
        涙は、涙腺という眼球の外上側にある組織で作られ、瞬きで目の表面に行き渡ります。大半は、目頭にある「涙点」という小さい穴から鼻の奥に排出され、一部は目の表面から蒸発します。涙の減少や成分の変化によって、結膜や角膜などの目の表面が「肌荒れ」のような状態になり、異物感や、瞼が重いといった様々な症状が現れる状態を「ドライアイ」といいます。ドライアイには涙の分泌量が減るタイプ(涙液減少型)のものと、涙の蒸発が進みすぎるタイプ(蒸発亢進型)のものがあります。長時間のパソコン作業、エアコンによる乾燥、コンタクトレンズの長時間装着、ストレスの増加などによっても生じます。
      • 歪み
        • ① 黄斑前膜
          加齢による後部硝子体剥離が起きる過程で、硝子体後壁(硝子体の皮質)だけが網膜側に張り付いてしまいます。そのあと、残っている硝子体皮質を骨格にして、そこに新たな細胞が増殖し、眼球内のゴミのようなものが付着して、少しずつ黄斑前膜が形成されます。約1割は、後部硝子体剥離がまだ起きていない段階で、硝子体ポケットの後壁が骨格になって膜が形成されるケースもあります。黄前膜の形成が進むにつれて、ゆっくりと視力が低下していきます。また、物が歪んで見えたり、大きく見えたりもします。
        • ② 黄斑円孔
          中心窩の網膜に穴(孔)があいてしまう病気です。穴自体は直径0.5ミリメートルに満たないとても小さなものですが、最も視力が鋭敏な部分にできるため、大きな影響が現れます。完全な穴が形成されてしまうと、視力は0.1前後(近視などは矯正した状態で。以下同様)になってしまいます。
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        • 外来検査機器

          動的・静的視野検査、ヘスチャート(眼筋機能検査)、眼底カメラ・蛍光眼底造影、眼底OCT(CIRRUS HD-OCT)、前眼部OCT(CASIA)、光干渉式眼軸長測定装置(IOLマスター)、超音波検査(Aモード、Bモード)など

          手術機器

          手術顕微鏡:カールツァイス社製ZEISS CALLISTO eye( OCT付、非接触広角眼底観察装置Resight付 )、白内障手術装置:アルコン社製 センチュリオン、硝子体手術装置 アルコン社製 コンステレーション

          カールツァイスホームページ
          http://www.zeiss.co.jp/meditec/ja_jp/splashpage.html

          アルコン社ホームページ
          http://www.alcon.co.jp

        賞状

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